大腸ポリープ切除後「癌が入ってました」と言われたら
2022/02/10
これらの写真は先日当院において、内視鏡的にポリープを切除した患者さんの一連の手技中の写真です。そしてそのポリープのその後の病理組織検査において一部に癌が認められたのでそのことに関連したお話をします。
大腸ポリープは、ポリープを形成する細胞によって腺腫性ポリープ、過形成性ポリープ、炎症性ポリープなどに分類され、治療が必要なポリープは、腺腫性ポリープと大きな過形成性ポリープと言われております。腺腫性ポリープは大きくなると癌化するとされ、本邦の報告では径10mm以上では3割近くとされています。
大腸粘膜は内側から、粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜の層構造になってます。癌が粘膜内であれば、リンパ節転移はないため、内視鏡治療で完治します。問題は粘膜下層に達している癌です。粘膜下層の深くにまで癌が入り込んでいると、10%程度のリンパ節転移がありえるため、外科的追加手術が検討されます。そのため当院においてはポリープの拡大観察、狭帯域光観察、色素散布を駆使して評価し、癌があったとしても粘膜内にとどまる腺腫性ポリープを対象としております。そしてありがたいことに今ではその見た目だけでかなりその生物学的特性を判断できる内視鏡診断学が体系化してきました。
一般的に内視鏡で切除したポリープは顕微鏡で検査をします。今回の例のように癌が存在する場合は癌細胞の性状・広がり具合・血管やリンパ管の状態を調べ、完全に切除できているか、その断端の評価が重要になります。今回の例はごく狭い範囲に癌がとどまっており十分に取り切れており、2枚目の内視鏡写真でもわかるとおり、その断端は腺腫成分の遺残も認めません。ですから追加治療はもちろん不要でした。そしてなによりも重要な事は、かつてポリープを切除したような方は、その後もポリープや癌の発生が多いと報告されておりますので、定期的に内視鏡検査を受けることが必要とされますし、その際に、一部癌化するようなポリープもありますので、そうなる前のポリープが小さいうちに切除してしまう予防的な治療が望まれるのです。
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