先日ネットニュースにて、アニサキスが含まれた鮮魚を卸したスーパーの魚の調理部門が食中毒として一日営業停止処分を受けたとの報道がありました。大変残念なニュースだと思います。そもそも寄生虫のアニサキスを細菌などと同様に食中毒とする厚生労働省の判断もどうかと思いますし、この小さい虫体をアルバイト人員頼りのスーパーの鮮魚店でさばく際に全て取り除けるはずはないはずです。特定の魚の新鮮な刺身だからこそ入り込んでしまう可能性が高いのです。アニサキスは－２０°で24時間で死滅しますが、これが義務化されてしまいますと、良い悪いは別として日本の刺身は全て回転ずしのネタのようになってしまいます。現状、かしこい消費者の取るべき道は『よく噛む』ことで防ぐのが一番らしいです。また、腹痛の原因もアニサキスが胃壁に食いこむことが痛みの原因ではなく、そこで起こるアレルギー反応で腹痛が発生することが解明されました。アニサキス抗体の無い方の場合、胃壁に虫体が入っても全く痛くないそうです。

さて、写真は当院に腹痛で来院された方です。この方もそうですが、どなたも『アニサキスにやられた』と自己申告されて緊急内視鏡依頼される方がほとんどです。検査で簡単に虫体を発見でき、内視鏡鉗子でちぎれないような力加減で掴み、うねうね動くのを胃壁から体外まで落とさないよう注意して摘出すれば、みなさん腹痛消失して、ほっとした表情でお帰りになられます。