胃がん検診での食道精査
2024/11/02
患者さんから頻度の多い質問事項の中で、胃内視鏡検査の際に「食道は診てもらえないんですか」と聞かれることがたびたびあります。もちろん胃に到達するためにはその経路である食道もしっかり往復で観察しますので、ご安心ください。そして大事な事は食道癌の危険因子は胃におけるピロリ菌と同様に、かなり明確な危険因子が昔から指摘されております。それは飲酒量と喫煙です。さらに付け加えると、飲酒で顔が赤くなるタイプはそこにさらに上乗せの危険因子を有するとされています。先日、鼻を中心とした赤ら顔の中高年の男性が、当院へ胃癌検診の内視鏡検査を受けに来院しました。私は問診で上記事項を確認し、このタイプの方は普段よりよく食道を診なければならないぞとおぼろげに意識して検査開始したのですが、まさにドンピシャに病変を発見できたので、紹介します。
写真Aの画面の右側やや下方のやや赤い部位に食道癌があります。一般の方はよくよく注意して見ないと、雪面に隠れるユキヒョウを探すがごとく、認識しずらいと思います。さらには食道はぜん動運動が激しい部位でタイミングや注意力、経験値によっては容易に見落としが発生する部位になります。写真Aは通常光での観察ですが、食道は特殊光にても観察することが通例で、そうすると認識しやすくなってきます。
写真BはBLIという特殊光での写真でAとほぼ同じ領域を撮った写真です。ここには病変周囲に黒いマーキングを打ってみましたので、写真Bでは明確に病変を認識できると思います。
その後に生検して食道癌を確認し、当院から後方支援病院へ紹介し、同じく内視鏡を用いたESDという治療を受け(病変部のみを内視鏡で切り取るような手技)、数日で退院され、病理検査でも完治という報告書が届きました。このようにおそろしい食道癌でも早期に発見しさえすれば、今や安全、簡便な治療が望めます。しかし、壁の薄い食道に発生する食道癌がいざ進行してしまいますと、周囲臓器浸潤やリンパ節・遠隔臓器転移へとつながりやすく、生命を脅かす事態になってしまいます。よって皆様方におきましては、飲酒喫煙の習慣を持つ方で胃癌検診を受けていない方が周囲にいらっしゃいましたら、是非胃癌検診を受けるようお勧めいただきたいと思います。
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