ある漢方薬の長期内服で、大腸に副作用を起こしうることがあります。
2024/08/11
現在では、どこの医療機関でも様々な症状に対して漢方薬が用いられることが一般的になりつつあります。有名なところでは下肢のこむら返りに対する芍薬甘草湯などがそうですが、これなど今話題の小〇製薬などがお得意の「コム〇ケア」とお得意のネーミングセンスでOTC薬として手に入れることができます。しかしこの薬でも漫然と長期内服した場合には血圧上昇や倦怠感といった副作用が知られていますが、多忙な外来担当医が多数の訴えや多数の内服を継続している患者に対してすぐにこの診断に行き着くことは難しいこともあります。
さて今回は右下腹部痛の訴えで中年の女性の大腸内視鏡を施行したのが左上の写真です。通常であれば肌色からピンク色で血色の良好な大腸粘膜が確認できるのですが、この方の右側大腸はあたかも蒼白な青銅色のような暗い色調で、粘膜にも弾力性がなく、硬く変性している所見を認めました。そこで、とある疾患を想定して他医にてCT施行したものが下記の写真です。画面上向かってやや左上側の右側結腸の周囲に線状に白く光るものが点々と確認することができます。これは腸の静脈が石灰化してしまってることを示します。そしてこの診断名は腸間膜静脈硬化症といいます。山梔子(サンシシ)というクチナシの果実が成分となる漢方薬を長期に内服すると報告されています。問題は女性の更年期症状に絶大に効果的な加味逍遥散にサンシシが含まれることから、実は副作用事例はもっと多いのではと言われています。この患者さんに聞くとやはり上記漢方を7年継続して内服していたとのことです。この治療は服薬を中止にすれば軽快するらしのですが、まれには手術に至った報告例も散見するようです。問題は漢方を長期に内服している方は精神的にもその漢方薬や処方医に依存している方が多く、この患者さんにも漢方中止を説明しましたが、納得いっている表情ではありませんでした。漢方薬は病状に適切な処方をすると見事に効果を表し患者さんに喜ばれますが、長期に内服する場合にはその長所、短所をキチンと理解している医師を選択することが肝要なようです。
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