現在日本で一番多く使われている内視鏡メーカーはO社ですが、今回当院ではあえてフジフィルム社製の内視鏡機種を採用いたしました。私はメーカーの回し者ではありませんが、同社のLCIという画像処理技術が大変素晴らしく、早期の小さい病変や判断に迷う病変に対してかなり有効と判断したからです。原理は一言で述べるのは難しいですが、通常の光で見るよりもLCIという画像強調技術を用いると、同じ赤系統の２色であっても、そのごくわずかな色の差を制御して極端に表現することで、簡単に病変を確認でき、どういったものかの質的診断をも可能にしてくれるというものです。

この写真の例は十二指腸潰瘍から今まさに出血している患者さんで、あわてていたので、つい胃の観察はおろそかになってしまうところでした。LCIでの観察中であったために、この写真が示す胃上部の周辺の赤紫色調の胃粘膜の中に胃癌を表すオレンジ系の色がやけに明るく、否応なしに目に入ってきたことで、難なく早期胃癌を診断でき、最悪不幸な見逃しを防ぐ事ができました。

また、今後増えてくるのはピロリ菌除菌後の患者さんたちの胃癌の診断が問題となります。と言うのはピロリ菌に侵された萎縮性胃炎の除菌後の胃から早期胃癌を見つけるのが従来の光源ではやや難しいと言われているからです。その点、LCIでの観察はその際にも有利に働くと言われておりますので期待をしております。